せっかくの機会なので「櫛かんざし美術館」と「玉堂美術館」にも寄ってみることにした。「澤乃井園」まで戻って楓橋を渡り、左手の坂道を上った。櫛とかんざしの展示だから女性が多い。江戸から昭和期に至る工芸品の集大成だ。庭園からは多摩川の流れを俯瞰する。見学を終え、寒山寺の石段を登って遊歩道を歩いて行く。カヤックのほかラフティング・ボートともすれ違う。ここにはボルダリングのポイントも多い。マットを敷いて一心不乱に練習する人たち。
「玉堂美術館」は日本画の巨匠川合玉堂が昭和19年から32年まで青梅市御岳で過ごしたのを記念して建てられたという。館内にはかれの作品のほか、香淳皇后の御作も展示されている。回廊から眺める枯山水の石庭は、砂紋も描かれて息を呑むほど美しい。塀の向こうに見える大銀杏がまだ青々としたままであるのが口惜しいのだった。
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