春満開(大井川鐵道)

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 世は自粛ムードが流れ、都知事あたりが「花見をすべきでない」なんて強要する今日。観光地の旅館やホテルはキャンセル続出で悲鳴を上げているらしい。人が自宅に逼塞していれば、日本中で金が回らなくなる道理だ。計画停電やら、鉄道の混乱で経済も下降気味なのだから、雇用を増やさねばならない今、消費できる人はしたらいい。というように自分を納得させて(笑)、大井川鐵道の桜を見る旅に出た。


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 天気予報によれば、川根方面は8日雨らしい。ほぼ満開らしい桜に雨では一気に散るだろうと焦って、7日早朝に出発。寸又峡温泉に泊まって、2日間フリー切符付きの「春のスマタ」というプランもあるのだが、雨にかかるようなので日帰りで。新幹線往復なら楽勝だが、のんびり鈍行で。片道4時間もかかるが、前回「青春18きっぷ」で往復した経験もあり、文庫本でも持ち込めばなんとか耐えられる。しかし、富士川からが遠いなぁ。
 9時54分金谷着。10時02分発のSLに乗る予定だったが、何とこの日は新金谷〜家山間に変更。HPにはコメ印で注意があったが「新」の一字を見落としていた。仕方なく、普通列車に乗った。沿線の桜は満開。大和田駅周辺も見事だが、家山の桜トンネルと家山駅周辺のソメイヨシノの波状攻撃は圧巻だった。去年は家山、田野口、駿河徳山あたりで撮ったので、今年は穴場の抜里駅で下車。広大な茶畑越しに桜バックのSLを撮る予定。抜里駅はローカル感溢れる無人駅。家山寄りに戻って茶畑から普通列車とSLを撮った。
 今回は「川根温泉ふれあいの泉クーポン」という切符を使った。金谷駅からは1,820円で川根温泉笹間渡駅まで往復出来て、温泉にも入れる。川根温泉笹間渡駅ホームに降り立つと、桃の花がこれまた満開。うーむ、ここで撮ってもよかったなぁ・・・。この駅は、すぐ脇に大井川を渡る第一橋梁があるので、超有名な撮影ポイントだ。ここで千頭発金谷行きのSLを撮る手もあったが、いつも撮るばかりで「かわね路号」には乗ったことがない。大井川鐵道のSLにも一度は乗っておきたい。とりあえず、2時間ほど余裕があるので温泉施設に寄って入浴して時間潰し。ここは道の駅も兼ねていて、広い駐車場に車がぎっしり。いくつもある露天風呂からは、橋を渡るSLを見ることも出来る。泉質もいい。湯上がりに缶ビールをやってから、第一橋梁を行く元京阪電鉄の3000系を撮った。
 15時37分発の「かわね路号」は先頭の機関車が後ろ向きで進入して来た。これは千頭駅には転車台があるものの、金谷・新金谷駅にはないことによる。つまり千頭方面行きは常に正規の連結で走行する。車内に入ると、旧国鉄時代にタイムスリップする。なにもかもがレトロだ。天井の扇風機にもJNRのマークがある。車内はがら空きだ。去年のこの時期、金谷発のSLはまず予約が取れなかった(千頭発はそうでもなかった)。これは旅行会社が金谷〜家山間でSLに乗車、あとはバスで観光地へというツアーを組んでいるからだ。今年の乗客減は東日本大震災と原発問題の余波に違いない。
 SLの急行券は車内で買った。女性の明るい車掌さんもいる。SLに揺られて行く時間は、独特の振動と相まって感傷に誘う。記憶の深い部分を刺激される感じだ。家山の桜トンネルを潜る。人々が沿線で手を振っている。大井川の蛇行と広い河原が心を解放する。先頭車両に移ると、時々煙やら粉塵が窓の隙間だかどこかから侵入して来る。茶畑に機関車と吐き出す煙が影を落としながら走行する。やがて金谷駅が近づき、至福の時間が日常へと変わる。

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