谷川岳は去年登ったけれど、悪天候でトマの耳で諦め、オキの耳までは到達出来なかった。最高地点を極めていないのが気になっていたのと、前回上部を降りて手こずった西黒尾根を攻めてみようと決心。早朝の出発が前提になるので前泊することにして、土曜日に出発。新宿から高崎線。高崎駅の売店で復刻版の「とりめし」を見つけ、即購入。水上行きの普通列車内で紐を解く。通常のものと比べると、見た目は地味ながら味は特級だ。スープで炊き上げた飯も絶品。大根の甘酢漬けもさっぱりして美味。奈良漬けもついて800円は駅弁として安い。
水上からバスに乗って、土合駅前で下車。清水トンネルを出て来る上越線普通列車を待つ。トンネル回りは紅葉がまだで、仕方なく湯檜曽川に下りて橋梁を行く列車を撮った。 宿泊先は土合山の家。ここは夕食にズワイガニがつくのがウリだ。翌日、朝食は6時からというので、弁当にしてもらって出発。ロープウェイ土合口駅を越えて、6時登山道の予定だったが、登山届の提出などに手間取り、6時20分登山開始(これが実は微妙)。いきなり、林間の急登だ。やがて尾根筋に出ると、岩場の連続。昭文社の地図に「日本有数の急坂」と記載があるのにビビるけれど、何とかクリア。ここからは、鎖の連続。岩稜の醍醐味を堪能することが出来た。しかし、ここを特に雨の中下るのは、ちょっと考えものだ。初心者は下らないように警告が出ているコースだ。西黒尾根は、前半の樹林帯は展望がないのだが、後半の核心部は広く視界が開け、気持ちいい登山になった。紅葉は各尾根から下でピークを迎えている。
肩の小屋で小休止。すぐに頂上のトマの耳。引き続き、オキの耳へ。日曜とあって登山者も多く、渋滞が発生する場面も。オキの耳登頂。ほぼ予定通り、ここまで4時間で来ている。尾根筋を、一ノ倉岳へ少し下った辺りで各自休憩していた。ここで小休止の後、一ノ倉岳目指して縦走路へ。心配した雨も降らず、青空も広がってきた。快適な縦走路を進むと、やがてノゾキだ。一ノ倉沢の断崖を覗き見るポイントなのだが、この日はずっとガスっており、クライマーの姿は見えなかった。時折、ガスが晴れ、上部の紅葉が覗けた。一ノ倉岳へは急登。この辺りから予定時間に遅れ始める。ピークを四つ越える度に上り下りがあるので、かなりキツい。山頂は標識があるだけで、食事中のグループがあったので通過。茂倉岳を望む鞍部に下りて大休止、弁当のおにぎりを。気が急いていたものの、少し寒いのでストーブでお茶を沸かして飲んだ。ここで地図を睨んで悩む。茂倉岳から茂倉新道経由で土樽まで下るか、引き返して天神尾根を下るか。後者は多少、時間的に遅れてもロープウェイもあるし、土合口からバスもあるのでどうにでもなる。地図上の計算では、入山届けを出した登山指導センターから土樽まで8時間30分。6時スタートで14時30分着の予定。土樽15時21分発の水上行き普通列車に乗車出来る。しかし、開始が20分遅れているし、一ノ倉岳で時間を食ったので、余裕がない感じ。上越線のこの区間は列車の本数がなく、遅れたら18時台を待たねばならないのだ(あるいは最寄りのバス停から越後湯沢に出て新幹線で帰るか)。しかし、将来茂倉岳避難小屋を利用することも考えられ、チェックしておきたいので茂倉岳へ。茂倉岳避難小屋は驚くほど立派で、山小屋と遜色ないほど。トイレもあり、水場もすぐ近く。
茂倉新道は上部は見晴らしもよく、快調に下って行った。紅葉は、天神峠方面より殆ど登山者のないこちらが圧倒的に綺麗。しかし、後半の樹林帯に入ると、巨大な根っこが露出した上を越えて行くことが頻繁で疲れるし、速度が出ない。距離も長く、登りには使いたくないルートだ。13時30分、矢場の頭に到達。見晴らしもよく、座るに具合のよい大石が幾つもあるので休憩。後続の二人の方としばし歓談。ここから土樽まで1時間40分の標識。十分間に合いそうでもあり、微妙とも思える。先に出発したけれど、やがて二人に抜かれてしまった。一人などはトレールラン擬きに2本ストックで飛ぶように下って行くのでびっくり。こちらはとてもそんなに早くは下れないけれど、流石に最後の下りは焦って小走りになる。登山道から舗装道路に出て歩くこと25分。駅に飛び込んだのは発車4分前という際どさで。計算通りともいえるけれど、余りの余裕のなさに冷や汗をかいた。
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