山に登り始めてから、いつかは行きたかった富士山。心の隅にありながら「長時間ひたすら登るだけ」という話を聞いて決断しかねていた。しかし、前回白馬で標高差1,600Mをクリアしたことから、これなら富士山もいけるのではという気がしてきた。アクセスのいい吉田口(河口湖)ルートなら五合目から1,400M強で山頂に至る。NHKの「趣味悠々」で田部井淳子さんがルー大柴を指導、高尾山から金時山、谷川岳、木曾駒ヶ岳、燕岳を経て富士山のゴールまで案内していたが、結果的にそれに沿った形で谷川岳、木曾駒に登っており、加えて燧ヶ岳、白馬などの経験からステップアップして来れたように思う。
事前に雑誌やネットで研究した結果、初めてだし、単独行ということで手堅くいこうと八合目の山小屋に泊まることにして、標高3,250Mの「元祖室」を予約。週末の混雑を避け、中央高速バスで日曜の昼頃富士スバルラインの五合目バス停へ。ここが2,305Mだから945Mを約5時間で登る計画。七合目あたりまでは問題なし。標高3,000Mの太子館を見て八合目に到達したあたりから砂礫の滑り易い登山道にひと苦労。やっとの思いで宿に到着。天気にも恵まれ、雲海の彼方に遠く八ヶ岳、その先に後立山連峰などを望むことが出来た。やがて日没。その直前には影富士を撮影するという幸運も。夜の帳が下りると満天の星。山小屋はほぼ満員で、掛け布団は二人で1枚。これは初体験。宿泊者でもトイレを使う度に200円徴収されるのに驚いた。頂上で御来光を拝む人は1時30分~2時頃に起床、出発するが夜間の歩行は避けたかったので山小屋で御来光を迎えてから出ることに。4時半頃起床、前夜配られた弁当を食べ、身支度している内に5時05分、御来光。雲海の上に昇る朝日は感動的だった。砂礫の多い登山道を登り、鳥居が見えてからは岩場が連続する。470Mを登って7時過ぎ、標高3,720Mの吉田口山頂へ。
山頂では記念撮影しているし、ベンチで寛いでいる人多数。しかし、日本最高地点の剣が峰目指してお鉢巡りする計画なので、すぐに御殿場方面へ。縦走路のようで眺望もよく最高の気分。なにしろ、日本一の眺めだから。馬の背を越え、富士山測候所跡まで来ると行列。三角点と「日本最高地点」の標識の前で記念写真を撮りたいのは人情。親切な方にお願いしてシャッターを押してもらった。標高3,776M。その奥の展望台からは素晴らしい眺望。裾野から遠く立山方面迄視界が開けて絶景。この大パノラマを何時迄も眺めていたいところだが、帰りの時間が迫っていた。
9時15分頃下山開始。この下山が距離も長いし、終始砂礫混じりの滑り易いつづら折れの道で難儀した。約3時間で下りて来たのだが、五合目付近ですれ違う登山者やトレッキングの人たちは「みんな、凄い疲れ切った顔しているねぇ!」と口々に語っていた。最後で馬に乗る人がいるのも尤もといえる。しかし、見所も多く、達成感に満ちた登山であった。
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