「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」を見た。役員昇進も間近なエリートサラリーマンが親友の死や、母が倒れたことなどをきっかけに自分自身を見つめ始める。その彼の脳裏に浮かんだのは子供の頃憧れた電車の運転士になる夢だった。
舞台になっているのは出雲の一畑電鉄。単行や2両連結の古い電車が走る、地域密着のローカル線だ。沿線の風景がまたいい。菜の花の畑を、苗が伸びた田圃の中を、宍道湖沿いの線路をガタゴトとひた走る。車両は南海電鉄から譲り受けた3000系や京王電鉄からの2100系など。中でも異彩を放っているのが導入以来80年の歴史を誇るデハニ50形。扉の開閉も手動という古びた車両だ(惜しいことに平成21年3月29日引退)。この映画の陰の主役といっていい。
映画館のスクリーンに映し出される、出雲地方の風光明媚な背景を走るローカル電車。まるで実物のような迫力だ。一から研修を受けて運転士になって行く姿や整備士との交流など、鉄ちゃん垂涎のシーンが満載。その有り様は大井川鐵道や真岡鐵道の姿ともオーバーラップする。そういえば最近、いすみ鉄道で中途採用の運転士募集に多数の応募者が押し寄せた記事があった。経営不振により、教育費自弁(700万円だったかな)という条件だったが。採用された4人は何れも四、五十代だ。夢よもう一度。ローカル列車を走らせてみたいと思う気持ちは何となく分かる。失われたロマンの世界だな。
写真は箱根登山鉄道のモハ1形(強羅駅)。昭和25年製造。さすがにデハニの写真は掲載出来ないが、雰囲気は伝わるかと思う。
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