一ノ倉沢(後編)

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 午後1時30分頃にはロープウェイの土合口駅前で水上行きのバスを待っていた。14時発の関越バスを待つ乗客が既に列をなしていて、乗れるか危ぶんだが、やがて水上駅直通の臨時便が出て、これに乗車出来た。残りの人は上毛高原行きに乗る人たちだ。土合駅の直前、上越線の上り線が通るトンネルが目に入った。そのトンネル出口の山肌は紅葉に覆われ、例えようもなく美しい。「ここから出て来る列車を撮りたい!」と思わず口から出掛かったほど。しかし、次の上り線がやって来るのは15時31分だ。これを撮れない事情があった。それは水上駅を15時20分に出る上りの「SLみなかみ」号を撮らねばならないから。今回の一ノ倉沢行きの、もう一つの目的がこれだったのだ。相変わらず、盛り沢山の内容(笑)。紅葉が始まった諏訪峡を走るD51の勇姿を捉えたい。下りは12時04分に水上着だが、これを撮っていると一ノ倉沢を撮るのが難しい。不可能ではないが、山の写真を撮るなら早い時間に越したことはない。事実、もう1時間早く一ノ倉沢に辿り着いていれば青空バックの断崖を撮ることが出来た筈だ。バスが水上駅に近づくと、白い煙を吐いて停車中の懐かしい車体が目に入って来た。


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 水上駅構内の線路に佇む「SLみなかみ」を撮ったのち、上毛高原行きのバスに乗り換えて諏訪神社前で下車。諏訪大橋の上から渓谷を行くSLを撮ろうという魂胆だ。橋の中央付近に人だかりがしているので、さては鉄ちゃんが集まっているのか?と早合点。実は、この橋はバンジージャンプの名所であるらしい。待つほどもなく、近寄ってカメラを構えた直後に若い男性がジャンプ。ためらう風でもなく、余裕のポーズを決めるほどだから、それなりにキャリアを積んだ人らしい。車道側の路側帯に三脚を構えた年配の鉄ちゃんを発見。他にSLを撮るらしい人は見かけない。そこからは諏訪峡を走る列車を俯瞰する構図で撮れるのだが、紅葉が未だしという感じで決め手に欠けた。橋の反対側で渓谷沿いの線路を行く構図でいけそうだったので、三脚にE-P1をセットして待つ。少し時間があるので先客に挨拶がてら様子を聞くと、思いがけない言葉を聞いた。ここからは上り線を走るSLは撮れないというのだ!土合駅でも上下線は地上と地下に別れていたが、ここも上り線はトンネルを走っているという。彼は下り線を走る別の列車を待っているのだという。SLが来るまで20分ほど。かなり焦るが、トンネルの出口まで急げば間に合うというアドバイスを貰って走った。WEBでチェックしていた諏訪峡とSLの写真は下り線だったのだ。一の倉沢トレッキングの帰りだから重い登山靴を履いて走るのはキツかった(笑)。何とか間に合い、先着の鉄ちゃんグループから離れた地点で構えるも、他の列車でシュミレーションも出来ずいきなりだし、綿密に検討した構図でもないのでかなり苦しい。SLが来た。E-P1の動画撮影を開始しておいて、少し離れた場所からE-3で連写。C-AFにして親指AFで撮影したのだが、後でPC上でチェックすると、前面の草むらにピントが合ってしまっていた。大失敗。SLにきちっとピントが来て、周囲がぼけている分には構わないのだがなあ。E-P1の方は動画はパンフォーカスだからそれなりに撮れていたのが救いだ。本日のイベントも終了。水上駅と上牧駅の中間あたりにいるので戻るよりは進んだ方がいいだろうと上牧に向かって歩き始めた。これが予想外にとんでもない距離。素直に橋からバスで水上駅に戻ったほうが楽だった。足は痛いし、些かげんなりしながら歩くも、上牧駅の手前で干した稲藁と上越線の115系という構図をモノにした。今は懐かしい、旧湘南電車のカラーだ。しかし、それが撮れたということは、次の列車まで間があるということ。駅でさらに1時間の待機を強いられることに。幸い、近くに酒屋があったので缶ビールを買って喉の乾きを癒した。上越線のローカルぶりも中々のもので、2時間に1本くらいはざらだ。只見線ほどではないが。やっと来た普通列車に乗って東京に帰る。これから3時間は覚悟しなければならない。

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