前週、谷川岳に登頂はしたものの、帰路に寄りたいと思っていた一ノ倉沢は時間的に無理だった。マチガ沢周辺の紅葉もまだで、おそらくは次の日曜あたりが見頃と思えた。その日曜、またしても来てしまった(笑)。物好きというしかない。
丸ノ内線始発に乗って、新宿から埼京線、高崎線と乗り継いで鈍行路線を行こうと考えていたが、新調した登山靴(前のは谷川岳下山中に底が剥がれてしまった)を履くのに手間取り、乗り遅れ。次の地下鉄の車中で「埼京線は事故で不通」とのアナウンス。急遽、東京駅か上野駅から新幹線、または在来線特急で行くことに変更。手元に時刻表がなく、上野からの「水上」の発時間が判らず、とにかく上野まで行ってみることに。東京駅発の上越新幹線も上野から乗車出来るという計算で。駅員に尋ねたところ、「水上」の一番早いのは9時頃というので(後で誤りと判明)、結局新幹線に乗ることに。この過程で、在来線特急用ホームに急行「能登」が停車しているのを発見。JRに唯一残る、長いボンネットの489型は予てから撮りたかった被写体。迷わず数枚撮影。附近には小学生も群がっていた。
撮影なんかしていたものだから、6時14分発「とき301号」に乗り遅れ。仕方なく、次の長野新幹線「あさま」に乗車、高崎からちょうど入線していた吾妻線の普通列車に乗車、渋川で上越線水上行きに連絡。水上には8時49分に到着。一ノ倉沢に行くのなら、すぐ出るバスがあるのだが、今回は他に目的が。それは水上の先の土合駅下りホーム(地下)から486段の階段を上がって地上に行くこと。日々、鉄色に染められて行く私(笑)。それで長岡行きの普通列車を待つのだが、これが9時47分発。1時間近く時間を潰すことに。「とき301号」で来ていれば、8時21分の長岡行きに直通で連絡していたのだが。
土合駅で降りたのは思いもかけず多数の乗客。一般にもかなり有名なようで、お揃いで登山靴を新調した姉妹や外国人など、イベント気分で賑やかに暗い地下ホームから階段を上って行った。土合駅は無人駅。皆、ここからロープウェイの駅や一ノ倉沢へと歩いて行く。もう土合駅を出た時から紅葉が凄いことになっていた。まさにピークだ。駅の背景の山も美しい。今日は青空だし、いい写真が撮れそうだ。かなり気分がハイになって来た。一ノ倉沢のトレッキング・コースは通常なら車も通る舗装道路を行くのだが、それではつまらないので、土合橋の先から新道を行くことに。湯檜曽川沿いに山道からやがて細い登山道に繋がる。林道は紅葉に包まれて実に気持ちがいい。写真を撮りながら進むが、途中の道しるべで「一ノ倉沢・蓬峠まで8.3km」の表示を見て、ぎょっとする。普通に歩いて2時間半はかかるコースだ。旧道往復の標準的コースがトータル2時間半なので、それを基に予定を組んでいた。やがて一ノ倉沢までのバイパスになる分岐点に案内が出て、それによればあと0.8kmというのでひと安心。しかし、ここからがきつかった。かなりの傾斜の上りが続く。今日はデイバッグだし、ポールは持たず代わりに三脚を持っているのできつい登山道ではかなり微妙だった。やっと眺望が開けて、一ノ倉沢が視界に。絶景が目の前に広がっている。惜しいことに登山道からは電線が構図に入ってしまう。青空もここでは急速に範囲を狭めていた。一ノ倉沢出合の上の方から下りてくる形で、旧道からの人とすれ違う。出合はやはり登山グループや団体、それに家族連れで賑わっていた。ここからは何度も写真で目にした一ノ倉沢の圧倒的な山容が迫ってくる。ここでE-3と14-54mmでひとしきり撮影。錦色に染まるとはこのことだ。レンズを換えて、魚眼とEC-14で広角レンズふうに撮ってみたが、何故か不調であとでチェックするとピントが来ていない。原因は不明。こころゆくまで撮って、他の登山客に混じって昼食。持参のおにぎりとプリムスのストーブで沸かした卵スープ。時間があれば、さらにこの先の幽ヶ沢、芝倉沢を辿るサブコースも考えられたが、急速に雲が厚くなっているので下山することに。雨粒が落ちて来た。やはり谷川岳の天気は急変しやすい。マチガ沢のあたりは先週とはまったく違って360度見渡す限り紅葉に染められていた。
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