紅葉の涸沢を見たかったが、10日発ムーンライト信州の予約を取り損なって、結局涸沢行きはボツということに。しかるに山行きの思い断ち難く、結局上越線一本で行けてアクセスのよい谷川岳に行ってしまった。土曜の深夜から準備を始め、完徹に近い状況ながら、途中うつらうつら寝たりしている内に朝に。慌てて出掛けるも、7時8分発の「とき305号」に間に合うギリギリのタイミングで丸の内線に駆け込んだ関係でATMで現金を引き出せず。まあ、上毛高原駅か谷川岳ロープウェイで何とかなるかと思いつつ、東京駅の乗車券売り場で往復乗車券と往きの特急券を購入。復路は在来線特急か、あるいは鈍行でゆっくり帰ってもいいし。往路、上野駅から「水上1号」で行けば安いけれど、着時間が1時間違うので。山ではその差が大きいかもと。これら全てが伏線を張りまくりということに(笑)。
8時24分、上毛高原着。同32分発の関越バスに乗車、ロープウェイの土合口駅には9時17分着。上毛高原でATMが見つからず、結構田舎だしバスの時間も迫っていたのでそのまま来てしまった。バス代を払って、ロープウェイの往復券2,000円を買うと帰りの水上駅までのバス代650円が出ない状況。実は、一の倉沢のトレッキングコース(行程2時間30分)を行くか、谷川岳山頂登山コース(同4時間55分)を行くか迷っていた。一の倉沢も紅葉の名所として超有名だし、絶壁と紅葉を拝んでみたい。しかし、せっかくここまで来たからには百名山でもある谷川岳にも登ってみたい。一の倉沢からマチガ沢経由で登る厳剛新道もあるものの、マチガ沢出合835Mからトマの耳1963Mまでの標高差は1000Mを越えており、時間的にも脚力からみても不可能。雨が落ちて来ているし、悩んだ末ロープウェイで天神平まで行くことに。22人定員のゴンドラはスキー場のゴンドラリフトのように次々回って来るので駒ヶ岳のような目には遭わなかったものの、待ち時間が40分。これは、やはり背広姿で乗車する観光客と同乗のため。ロープウェイの直下は紅葉がピークに近い状況。天神平から天神尾根までは歩けば1時間。雨脚が強くなり、駅舎で雨具を装着。ここは先を急ぎたいとリフトに乗車。400円。天神峠は標高1502M。あとは尾根筋をひたすら歩いて頂上を目指すのみ。ガスで眺望は利かないものの、紅葉は美しい。時折ガスが晴れると、錦色の尾根が現れては消えて行く。熊穴沢の避難小屋は狭くて、トイレもないのでパス。木道もあるものの、泥濘化した登山道は岩場もあり。鎖場もあって、かなり緊張する。駒ヶ岳や立山の、森林限界を超えた開放的な登山ルートとはまた別種の趣。
午後1時頃、山頂直下の肩の小屋到着。トイレもあり、食堂や休憩室もあって冷えきった体を暖めることが出来た。ここでストーブを出して卵スープとおにぎりの昼食。ここを出ると、すぐに山頂。トマの耳1963M。双耳峰の方耳、オキの耳1977Mにも行きたかったけれど、ここで引き返す人多数。ガスで眺望も望めないし、寒いし時間にも追われているので次の機会(あるのか?)ということにしてすぐ下山。ロープウェイで下山出来ないので歩きだけれど、あわよくば一の倉沢にも寄れるかと厳剛新道を下ることに。このルートは途中まで西黒尾根を行かねばならない。初心者は下山しないことと警告があるけれど、状況には逆らえずこのルートを辿ることに。これが半端なものではなかった。雨だし、岩場は滑るし、またその岩場が今迄登ってきたちゃちなものとは違って大規模。鎖場は至る所にあって、本当に怖い思いをした。全身をフルに使わないと下れない箇所も。つまり、背中や尻の力でホールドしてずり下がらざるをえない場面も多数。それでも一緒に下りる他の人(かなりの年配)や注意してくれる山岳写真家らしい人もあって。また、逆にこの尾根を登って来る女性もかなりの数が見られ、驚いた。途中、2回ほどガスが晴れて紅葉の尾根筋と遠くの沢筋を撮ることが出来た。山岳写真家いわく「このルートを来ないと、こんな写真は撮れない」とのこと。厳剛新道の分岐で悩んだ末、こちらを選択。しかしこちらを下りる人は誰もおらず。展望は開けたルートながら、沢を下る場面も多数。岩ごろごろで梯子も鎖もあり、また距離も長くてやっとの思いで下山。1000M以上を3時間で一気に下るわけで、かなりハードな体験だった。これを逆に登るというのは想像を超えているのだけれど。しかし、ロープウェイを使わない場合の一般的なルートとされているのだけれど(汗)。マチガ沢出合に出て、既に薄暗い車道を歩いてぎりぎり17時2分のバスに間に合った。始発の次の新幹線でもこのタイミング。在来線で来ていたら山道で日没かと。水上駅の近くにセブンイレブン(セブン銀行)もなく、上越線は幸いpasmoが使えたので17時30分発の高崎行き普通列車に乗車出来た(中央本線では韮崎までしか使えない)。高崎の手前で上野行きアーバン快速に接続。上毛高原から新幹線で帰るのとあまり違わない時間に新宿着。20時25分。いろいろ手違いもあり、危ない場面もあったものの、谷川岳は魅力的な山だった。多くの人が惹かれるのも理解出来る。十分の装備と準備でまた行ってみたい。
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