白い大地へ(2日目)

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 「急行はまなす」は北海道の鉄路をひた走っている。窓の外では、ぼうっとした雪の白さが暗闇と格闘している。早朝05:25に南千歳。新千歳空港の隣駅だ。当初の計画からは実に16時間遅れで到達。今頃は小樽運河沿いのホテルで熟睡中の筈だった。小樽天狗山スキー場で小樽市街の夜景を撮ろうなんて目論んでいたのだが。06:07に札幌着。ここで約2時間を潰さねばならない。ひどく寒い。さすが北海道だ。早すぎて飲食店もやっていないので、構内の待合所でストーブにあたりながら缶コーヒーで暖をとる。7時過ぎ、ミスドがオープン。「海老ワンタン麺」で朝食。8時が近づき、2番ホームへ上がる。「ニセコ・スキーエクスプレス」は既に停車中。「おおっ!」と内なる歓声を上げて早速撮影。キハ183系(5000番台)気動車は1988年製作というから既に20年選手だが、流線型のボディ・フォルムは古さを全く感じさせない。当時のデザインが如何に尖っていたかの証明だなあ。指定席の着席率は70%くらい。やがて列車は定刻通りホームを離れた。席は幸いにも進行方向右寄りの窓際。この位置からは札幌市街を離れたのち銭函あたりから石狩湾の冬の海を楽しむことが出来る。函館本線は余市、仁木と進んで「山区間」に入っていく。窓外は針葉樹が雪を冠って北欧のような景色。北海道ならではといえる。時折、雪の堆積を割って川の流れが現れ美しい曲線を描いている。09:41倶知安着。ニセコバスに乗換え、10時過ぎに「ニセコ・グランヒラフスキー場」に到着。ニセコで滑るのは何年ぶりなんだろう。懐かしいったらない。ここ数日の大荒れの天気で雪が大量に積もっていた。上の方はどこを滑ってもふかふかの新雪だ。圧雪もしていない。けれど喜んでばかりもいられない。1000メートル台地から上の視界は極端に悪く、吹雪まではいかないが雪も降っている。羊蹄山は全く見えないし、それどころかスキー場主峰のアンヌプリ山頂も拝むことは出来なかった。ひらふエリアのキング第4リフトが稼働していてくれたおかげで山頂下の新雪を滑ることは出来たが、視界が全く効かずホワイトアウトに近い。ゆっくりゆっくり降りて来るしかない。時折、強風が頬を打って立っていられないことも。スキーを楽しむだけなら下のベースの方に降りていった方がいいが。上の方は自然との闘いといった趣きだ。下手すると遭難ものだし。けれどどうしてもニセコビレッジ(旧東山スキー場)エリアに降りてみたい。視界はないし不安を抱えながら、手探り状態でどうにかビレッジのザ・ルックアウトカフェに到着。ホットチョコレートとマフィンで軽い昼食。東山のダウンヒルコースが好きで、昔を思い出しながら滑降。やがて正面にグリーンリーフホテル・ニセコビレッジ(旧ニセコ東山プリンスホテル本館)が現れた。ヒルトン・ニセコビレッジのゴンドラに乗るには左に曲がって行くのだが、ここを直行。グリーンリーフホテルのスキー場出口に立った。ここの露天風呂がいいのだ。日帰り入浴で500円を払って、多分一番風呂。他には誰もいない。雪見の露天風呂の絶景を堪能。「我ながら贅沢」とつぶやきが洩れた。
 札幌への帰路、小樽で途中下車。折角の機会だから小樽運河を撮影しておきたい。気温はマイナス2度くらい。雪は横なぐりに降っているし、スキーブーツなどが入った重い荷物を抱えて疲労もピーク。体も凍えているが、札幌で味わうべく我慢しているビールとジンギスカンを思ってエネルギーを振り絞った・・・。

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