この季節の被写体といえば、紅葉がその代表。山では盛りを過ぎているようだけれど、都心の公園などではまだ色づき始めといったところ。今年は紅葉が遅い。情報を探ってもそうだ。神代植物公園のかえで園を考えていたが、26日の時点では見頃になっていなかった(ここは例年早いのだが)。それで取りあえず神代植物公園にも近い、国立天文台(三鷹キャンパス)の紅葉を撮影することにした。ここは知られざる紅葉のスポットで、見学も場所は制限されるが許可されている。構内の第一赤道儀室の近くにある銀杏が見事で、1921年建設の古色蒼然としたドームとの対比が何ともいえない風情がある。しかし、銀杏の黄葉は個体差が大きく、タイミングを摑むのが難しい。この日も問題の木はちょうど盛りを迎えていたが、近隣の東八道路沿いの銀杏並木は全く色づいてもいなかった。遠く離れた所に住んでいると、ちょっと見て来るというわけにもいかず、ヤマ勘で勝負するしかない。去年はそれで外した。深大寺の紅葉は楓・銀杏ともジャスト・タイミングといえたが、天文台はとうに終わっていたのだ。今年は銀杏はよかったが、楓はいま一つ早かった。まあ、銀杏に埋もれた天文台というのもいいものだ。
第一赤道儀室の主はカール・ツァイス製の口径20cm屈折望遠鏡で、その来歴には興味深い逸話もあるようだ。また、赤道儀の追尾装置はおもりを動力源とした「重錐式時計駆動」という珍しい物で、これだけでも一見の価値がある(2006年のオープン・キャンパスで実際に動作するのを見学)。興味ある方はこちらもどうぞ。外での撮影を終え、ドームの中に入ってみるとすでに薄暗く、フラッシュを焚かずに撮影は出来ない雰囲気。しかし、今回はE-3という武器がある。ISO200に感度を上げ、手ぶれ補正に賭けてみると・・・何と撮れた!しかも1/2秒というものだ(換算28mm f2.8)。これは凄いんではないかい?等倍で見ても、ぶれは殆ど分からない。赤経軸のホイール・ギアの一枚一枚まで確認出来るレベルだ。
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