今年もPhotoshop worldの季節が巡ってきた。これで3回目の参加となる。今年のキャッチフレーズは「勝利の鉄則」ということだ。毎年会場が変わって、今回は江東区有明のTOCコンベンションホール。冒頭、NAPPの鈴木氏とアドビ・システムズの栃谷氏のスピーチに続いて、名物男のRussell Brown氏が登場すると会場は大いに沸いた。去年はパイレーツ・オブ・カリビアンの扮装で現れたが、今年はスター・ウォーズだ。Obi-Wan Russellということらしい。STAR WARSならぬPIXEL WARSなるタイトルが映り、スクリーンにPhotoshop共和国に対する「LIVE PICTURE帝国の侵攻」というクレジットが流れるとカメラマンからくすくす笑いが漏れた。
今回のPhotoshop worldの目玉は、何といってもPhotoshop生みの親であるThomas KnollとJohn Knoll兄弟の登場だ。基調講演ではPhotoshopの前身時代からの裏話が披露され、参加者は真剣に聴き入っていた。そもそもThomasは博士論文のために画像処理プログラムをたくさん書いていたところで、始めはビジネスにする積もりはなかったらしい。その時書いたのがPhotoshopの原型となるDisplay Version0.07というソフト(1988年)とのこと。続いて電塾の早川塾長らが代表して質問。そしてJohn Koll氏によるパイレーツ・オブ・カリビアンのメイキング秘話に移った。最後にBrown氏らの好意で参加者を含めた撮影会が開かれ、どっと聴衆が詰めかけた(2005年にはセッションでも写真撮影が出来たが去年から不可に。したがって、こんな機会があるのは本当に有り難い。Photoshopのイベントに来るくらいだから、みんな写真好き。案内されたとたん、DSLRが一斉に取り出された)。撮影終了後、ゲストは握手攻めに。この私もPhotoshopの創造主Thomas Knollに握手して貰いました・・。
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続いてのセッションでは「アニメーションスタジオI.TOONとPhotoshopの関係」を聴講。I.TOONが得意とするのはクレイアニメだ。人形を少しずつ動きを変えてコマ割りで撮影、アニメーションに統合するものだ。具体例として韓流スターのパク・ヨンハの「永遠」のミュージック・プロモーション製作の実際が映像を交えて示された。この、感傷を誘う何ともいえない詩的な味わいには記憶があった。もしかして、あれと同じか?そういう思いが募っていたところ、講師の伊藤氏からNHK「みんなのうた」で登場した「グラスホッパー物語」も同社の制作という事実が明かされた。これ、大好きなアニメだったので制作者の話を聴けて、ちょっと感動ものだった。
アマナのセッションは「撮影から3DCGへの鉄則」というタイトルで、商品撮影をなくして全てCGでという流れに沿って話が展開。カメラマンにとってはちょっと怖い話だ。しかし、既にEPSONのプリンターやフォト・ビューアーなどのCMでは実写でなく3DCGに取って代わられているのだという。そのメリットは近接撮影時の細部のぼけがないこと。これはマスキングして被写界深度情報を入れればぼけを作ることも可能だ。さらにレンズによる歪曲収差がないこと。例えば住宅を使ったロケなどでは重量物の搬入などでダメが出ることが多いが、これをCGでやれば自由自在。マンションの一室に置いたハイビジョンテレビなど。さらに、室内の家具やテーブルなどもCGで済ませればコストが安いこと。この点で激烈な価格競争に入っているという。全て実写ロケの場合に比べ半分くらいの費用らしい。その上データを使い回してテクニカル・ビデオや販促物にも利用できる。それらを一括して受注することは、企業側にもメリットが多い。デザイナーには時間短縮が求められている。携帯電話や車の新製品開発の先端で。このプロジェクトに関わるカメラマンは生き残りを賭けて真剣だという・・・。
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