間ノ岳の山頂付近は結構広くてゆっくり休憩できる。ここから左手の尾根を下ると農鳥岳方面だ。登山道の脇にチングルマの群生があった。夏山の定番ともいえる。今日の宿泊は農鳥小屋だ。西農鳥岳との鞍部に位置する、標高2,800メートルの山小屋。
農鳥小屋の主人については毀誉褒貶が甚だしいのだけれど、名物男であることは間違いない。二匹の犬を別にすればたった一人で山小屋を管理している。水や燃料、食材の調達をはじめ、宿泊者の朝夕食の仕込み、弁当の用意もあるほか受付や宿泊予約の電話応対もあるのだから超人的な忙しさだ。常連客のサポートはもちろんあるのだろうが。宿泊者には水1リットルが割り当てられる。それ以上は有料で、かつ給水は午後5時までと宣言される。翌朝は一切受け付けない。小屋への到着は14時か遅くとも15時までが当然で、遅くやって来ると説教が始まる。この日17時頃到着した青年はルートを訊かれて「甲斐駒まで」と答えてダメ出しされていた。「その足じゃ着かないよ」というのだ。思ったことをはっきりいうので、ナイーブな人は傷つくかも知れない。
夕方雲に覆われていたので心配したが、夜明け前に起きると夏の銀河が煌めいていた。東を見ると、上るオリオンが甲府市街の光芒と競演といった構図を決めていた。
コメント