Monologue

　大船渡市の盛駅でレンタカーを借りて陸前高田を目指す。ここまで来たら「奇跡の一本松」をどうしても見ておきたい。海岸沿いに南下し高田道路を走って峠を越えると広田湾を見下ろす。気仙町の民家跡地に復興を願って黄色いハンカチを掲揚した人がいて、この話を聞いた山田洋次監督が映画「幸せの黄色いハンカチ」で使用したものを移設したという。高田松原の野外活動センター辺りには駐車場が作られ、何台も乗用車が停まっている。もはや観光スポットといっていい。元の一本松は枯れてしまい、当日はレプリカを設置するのにクレーン作業中であった。荒廃した海岸に立つ人工の松はなかなかにシュールなものだ。

　ここから気仙沼経由で南三陸への道を辿る。気仙沼線は線路が被災、橋も落ちているので気仙沼〜柳津間でBRT（バス高速輸送システム）を稼働中。仮復旧とのことだが、歌津や清水浜駅を見た限りでは被害は甚大で復旧は未知数といえる。南三陸町に入ると市街地の傷跡がいやでも目に入る。女性職員が避難勧告のアナウンスを続けて波に呑まれた防災対策庁舎もそのままの姿で残っており、衝撃を受けた。