「能登」のラウンジでワインを

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 先週は大雪の影響で運休続きだった夜行急行「能登」。上越線も支障無く開通というので土曜日の夜に乗ってみた。始発の上野駅は23時03分発の寝台特急「北陸」を囲んだ鉄ちゃんで異様な熱気。3月のJRダイヤ改正でこちらも消え去る運命だ。「北陸」の発車ベルが鳴り、ゆっくりホームを離れ始めるとあちこちからフラッシュの洗礼が浴びせられた。そのテールランプが消えて行くと、今度は33分発の「能登」が入線。カメラやビデオを抱えた鉄屋がこぞってそちらへ移る。前回、「能登」への乗車は金沢からだったので表示窓に"FOR KANAZAWA"とあるのが何だか新鮮。


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 乗車区間は、今回は糸魚川まで。このボンネット型の急行に乗ることは、多分もうないと思うだけに切なく、ボディに触れてみた。荒れたサーフェスに長い歴史を感じた。自由席に座り、発車までの時間を静かに過ごした。窓の外ではカメラを抱えた人が走り回っている。やがて「能登」は発車の時間を迎え、モーターが唸り声を上げた。独特の振動。大宮に向かう途中の車内放送のチャイムは「鉄道唱歌」だ。その選曲も古びた車体にふさわしいものと思えた。
 今回、「能登」に乗ってやってみたいことがあった。それはラウンジでワインを傾けること。前回はそこで缶コーヒーを飲んだだけだった。しかし、ラウンジは古いなりに洒落ており、かつて売店のカウンターだったらしい天板をバーのカウンターに見立て、乗客が寛いで酒を嗜む光景を空想してみた。乗車率がもっと高い時代ならありえたかも知れない。6号車の扉を開く。ラウンジのボックス席も、止まり木の席もほぼ埋まっていて驚いた。駅弁など食べている人も。止まり木の一つに腰掛け、持参の赤ワインをグラスに注いでみた。「グラスの中の液体越しに港の船を見る」というCMがなかっただろうか。この場合、列車の窓に次々現れては消える光芒をグラス越しに見るという趣向だ。飛ぶように消えていく時間。写真と別に動画でも撮ってみた。過去を表象する、急行「能登」。現在は自分自身。それでは未来とは?

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