小海線を行く

| コメント(2)

 小海線を撮りたいという考えは、以前から心に浮かんでいた。旅行雑誌などを参考に、具体的に計画を練ってはいたが、来る週来る週日曜日が雨模様で出掛けられずにいた。先週、雑誌「鉄道絶景の旅」を買って読んだところ、特集が中央本線ということで思いが加速。今週末も悪天候が予想されたが、さらに次の週も予報が芳しくなく、ついに待ち切れずに出撃。ぐずぐずしていると梅雨に入ってしまうだろうし。


_5311678.jpg

 日曜日、新宿駅8番ホームを9:06に発車。乗車したのはホリデー快速「ビューやまなし号」。1号車の2階に着席。前後に他の乗客は2名という閑散ぶり。休日だというのに大丈夫かJR?天気が悪いせいか、高速道路1,000円の影響か。しかし乗り心地は快適。快速でありながら、特急に準ずる快適さ。どうにか曇り空で保って来た天気だが、山梨市を過ぎる辺りから窓に小さな水滴がついた。新府を過ぎ、日野春駅で特急の通過待ちで停車中には流れるような雨脚に。今日は一応上下カッパを持って来てはいる。しかし、傘は買うしか無いだろう。11:59小淵沢着。駅近くで撮影予定。しかし、その前に昼食を確保。小淵沢駅名物、丸政の「高原野菜とカツの弁当」を購入。

_5311727.jpg

今回の旅は、実はこれも大きな目的。新府桃源郷の旅の後、旅行雑誌でカツ弁当の記事を読んで思い出した。今は廃刊になってしまったが、かつてField&Stream誌の日本版を愛読中、ある号のコラムに八ヶ岳合宿の帰り、小淵沢駅でカツ弁当を買って食べながら東京に帰った話が載った。レタス畑の丘から駅に下って行くと、そのレタスが弁当に化けて待っていたって話だ。何故かその話が心に引っ掛かっていて、いつか機会があったら食べてみたいと思っていたのだ。だから、新府まで行ったのならついでに小淵沢まで足を伸ばしたらよかったなぁと後悔。その後、新宿駅の南口にある「駅弁屋」で販売されているのを知り、2度ほど買いに行ったのだが、いずれも売り切れ。何でも入荷したらあっという間に売れてしまうのだとか。そういう流れになると、ますます思いは募るものだ(笑)。大体、新宿駅で買ってどこで食べるのか。自宅か?それも面白くない。やはり「高原野菜とカツの弁当」は、小海線の車中で食べるべきでは。ともあれ、念願の弁当は後で引き取るからと一時保管をお願いし、改札を出て売店でビニール傘を買った。目指す先は、小海線の有名な撮影ポイント。小海線は小淵沢駅を出ると、右に大きくカーブする。そのカーブの内側に陣取り、南アルプスを背景に列車自体は小さめに撮影するのがパターン。よく雑誌の表紙などに見られる構図だ。WEBで調べた事前情報では線路に沿うように歩いて約30分とのこと。しかし、実際に歩くとそんなものではない。大体、線路沿いにまっすぐ歩いては行けない。道は小海線を横切るように付いている。大回りしてジグザグに歩かされる感じだ。中央高速の小淵沢ICまではすぐに辿り着いた。そこを中心にして半円を描く形になる。だからカーブの頂点を目指せばいいが、そこは山の中。山道をどう辿るのか、途方に暮れたがともかく歩いた。試行錯誤しながらも、目的の線路が見えた。しかし、そこは崖の上。望遠で撮るか?だめだ。ここはやはり広角で、空を入れて撮るのだ。よく観察すると下は田圃で道も付いている。どこかに連絡路があるのだ。そこから山を下って幾つもの別荘を過ぎてやっと農道?を見つけた。えらい苦労をして辿り着いた。まさにここがポイントだ。しばらくは構図を考えて歩いて回る。列車はなかなか来ない。それもその筈。小海線は上下にそれぞれ1時間1本くらいしか走っていないのだ。大半は待ち時間だ。他には誰もいない。独り占めの空間というべきか、寂しいというべきか?雨は霧雨になって殆ど傘も要らない。やがて小淵沢方面から警笛が聴こえ、列車がやって来た。ハイブリッドだ!1日1往復のハイブリッド車両をゲット。下調べも十分でないのに、幸運というしかない。雲は厚く、南アルプスも山容の全体は拝めなかったが、それなりには撮れたのかな。ちょうど棚田を撮りたかったので、稲が伸びる直前の水田にハイブリッド車が映り込んで印象的。今日はE-1での撮影。レンズも14-54と防塵防滴コンビだ。E-3も防塵防滴だし、これも持って来てはいるが、登山とかヘビーデューティ仕様が求められる場面ではE-1に出番が回って来る。メモリースロットと電池室の蓋の高い気密性は必要以上のレベルで、降水確率80%以上となれば尚のこと頼りになるヤツなのだ。出来れば違う構図で上り線を撮りたかったが、後の予定が押しているので諦めた。小淵沢駅に向かう途中、鉄ちゃんと何度もすれ違った。小海線や中央本線を横切る道は高架なので、ここが上から狙うポイントになっているようだ。


大きな地図で見る

_5311707.jpg


 駅に戻って小海線のホームに出たが、惜しいことに5分ほどの差で14:01の列車を逃した。次は15:07発というので、他にすることもなくホームの待合室で弁当を食べた。蓋を開けるとチキンカツと高原野菜(レタス、セロリ、カリフラワーなど)の他、リンゴや山菜など。カツの下にナポリタンが隠れていた。結構なボリューム。カツにかけるウスターソースの他、調味塩やサザンアイランド・ドレッシングにマスタードまで付いているので、駅で食べて正解。小海線に乗って、膝の上で弁当を開いたのでは、完食は困難かも。何だか長年の?宿願を果たして幸福な気分だ。小海線の車両に乗って発車を待っていると、ゆるキャラ「モモずきんちゃん」が登場。乗客が歓声を上げてケータイやデジカメを向けてシャッターを切った。すると、程なく「風っこ八ヶ岳高原号」も到着。「モモずきんちゃん」の歓迎を受けていた。

_5311728.jpg

_5311732.jpg


上りの「ビューやまなし号」は16:17発で、小海線に乗った時点で快速を逃すのが確定する。しかし、せっかく来たのだから野辺山までは行きたい。野辺山の国立天文台(野辺山宇宙電波観測所)の巨大なパラボラアンテナを撮るのも夢。進行方向に向かって右側の窓際の席なので、先程の撮影地が自然目に入る。この時間になると雨も上がって、農道やら田圃の畦やらに鉄ちゃんが集まってカメラを向けているのだった。列車は甲斐大泉、清里と過ぎる。沿線を彩るレンゲツツジが美しい。JR最高地点(1375M)を左手に見て、約35分で野辺山に到着。駅前でレンタサイクルを借りて、天文台まで一走り。夕方が迫り肌寒い。10分ほどで天文台に到着。守衛所で記名して見学コースを回る。晴れていれば八ヶ岳バックに壮大なパラボラのイメージが切り取れるのだが。しかし、かつての天文少年としては、宇宙研究の最前線に身を置いてしばし感慨に浸ったのだった。帰りの時間が迫り、45m電波望遠鏡とも名残惜しくお別れ。慌ただしい日程だなぁ。野辺山16:59発、17:29小淵沢着。17:34発甲府行き普通列車に乗車。甲府でビールを買い込んで、ぐびりとやりながら車窓に目をやると、うつらうつらし始め時間も忘却の彼方だ。高尾で中央特快に乗り換え、中野に20:48着。自宅のベッドに倒れ込むと、夕食も忘れて眠り込んでしまった(爆睡)。

_5311735.jpg

_5311740.jpg

_5311763.jpg

コメント(2)

こんばんは お邪魔致します。
 
 先般の小海線撮影、お疲れ様でした(^o^)
 生憎のお天気でしたが良いカットを物にされてますね。
 上から4枚目の、雲沸き立つハイブリット車のカットなど良い情景ですよ。
 小海線らしい高原の空気感に溢れてます。
 
 ズイコーと言えばオリンパス。
 貴い志しを目指した銘記揃いのOMシリーズでも、OM-3は未だに欲しいなぁと思うことが時々あります。
 もう銀塩は買わないと心に固く誓ったのですが、あの時代の歴史に残る銘記を中古屋で見かけると、ツイツイ『一晩か二晩飲みに行くのをやめれば・・・・』などと言う正札に心揺れ動く日々です(笑)
 
 まだまだ修行が足らぬ身と自己嫌悪(笑)
 また宜しくお願いします。
 では!

ふうらいぼさん、こんばんは。

 最近、日曜は天気が悪くて参っています。何週間も待って、待ち切れずに出撃した次第です。山は見えないだろうなって覚悟していましたが。ほんのちょっとだけ、雲の切れ目から顔を覗かせてくれました。現地は苗を植えたばかりで、思いがけず棚田の風景も撮れて、嬉しかったです。。。

 生まれた時からズイコー・レンズで写されていたのでズイコー・ファンって名乗りを上げることに。諸先輩に対しては、畏れ多い気もしますが。OM-1に続いてOM-2SPも購入。銀塩沼にハマりつつある自分が、正直怖いです(笑)。最近もOM使い必須とされる100mm F2をゲットしちゃいました。OM-3tiは永遠の憧れですが、買うとなれば、一桁違いますのでねぇ。勿体なくて、現場に持ち出せないのでは?

 今日は、E-P1発表の日。うーむ、これはやられちゃったかも。手元に1台あれば、動画も撮れますし。大井川鐵道のSLの音も録音できるかな?何だか、カメラケースやら外付けのファインダー、フラッシュまであるし、根こそぎやられそう。一眼のシステムってのは、ハマりますからねぇ。。。何よりコワいのはOMアダプターが純正で用意されているってこと(汗)。メーカー自身「OMレンズは販売終了です」とかいいながら、さりげなくそっと膝元に寄せてくる、そのココロは?今は安い、中古OMレンズの相場が上がったら何としよう(玉汗)。

コメントする

2019年10月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

アーカイブ

Powered by Movable Type 7.0.1